食欲のメカニズム

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 「おなかがすいた」「おなかがいっばい」など、私たちはおなか(胃を指す)の満たされ具合をこのように表現する。

 だが 、胃にどれ<らいの食べ物が入っているかが、食欲の決め手となるわけではない。胃潰瘍などで胃を全て切除した人でもおなかはすくのだ。
 
 実は食欲を左右するのは胃ではなく、脳にある。つまり私たちは脳で食べているのである。

 食欲は、脳の視床下部にある「食べなさい」と命令する摂食中枢と、「食べるのをやめなさい」と指令する満腹中枢との巡携プレーによってコントロールされている。満腹中枢を破壊したラットの実験では、エサを与え続ける限り食べ続け、肥満に至ったという。

 人間の場合、食べ物を取り込むと、その情報を神経や血液を通じて脳に運び、食欲中枢を動かしている。ブドウ糖もその情報を運ぶ物質の一つ。血液中のブドウ糖の濃度が高くなることにより、満腹中枢は満足する。

 一方、摂食中枢は脂肪酸を吸収することで刺激され、食欲が増進される。 しかし、摂食中枢が満足するだけでは「食べ足りない」と感じることがあり、これは満腹中枢が満たされていないといえる。
 つまり摂食中枢と満腹中枢の両方を満足させないと、「食べたい」という欲求は納まらないのだ。